「よみがえれ 浜の記憶 種差」

青森県立美術館で現在開催中の「よみがえれ 浜の記憶 種差」を鑑賞してきました。


多くの資料・作品が展示される中、特に印象に残った1作品をご紹介したいと思います。


作品のタイトルは、「津波の断想」。作者は、自然の風景と向き合いながら活動をされている美術家「リチャード・ロング」氏。

展示作品は、ロング氏が種差海岸で野営(3/284/37日間)しながら歩き、生まれた作品とのこと。


焼き物で使う土「陶土」で描かれたその作品は、2つのテーマを含んでいるそうで、それは「人工」と「自然」。

 

縦横各10m、大きな壁一面に描かれた本作品は、目の前に迫りくる波が表現されています。

自然とは?そして、描かれたサイズの波が実際にやってきたらあなたはどうする?と問いかけられているようで、迫力から恐怖へと変わる感情が生まれました。見れば見るほどそのリアリティは増していきます。


美術館の総括主幹 白戸はるみさんに伺った所、ロング氏は本作品を1時間ほどで仕上げたそうです。

また、興味深かったのは、作品が美術館の壁に直に描かれている点。

県立美術館が持つコンセプトにも由来しているようですが、作品がかもし出す自然の脅威とうらはらに、今回の展示が終了すると本来の白い壁に塗り変えられ消えていく儚さを感じました。


展覧会は91()まで開かれています。是非実際に観てその迫力を感じて戴きたいと思います。


今回は県立美術館のご協力により写真撮影させて戴きました。